156.入学式の祝辞
(立って、前方に礼)(来賓者に礼)(校長、教員に礼)(壇上に上がって、国旗に礼)
(号令にて、全員に礼)
皆さん、入学おめでとうございます。
たいへん高いところからではございますが、ご家族の皆様、この学園に関係されるすべての皆様に、心からお慶び申し上げます。
私は、株式会社タチバナ・ソリューションズ・プラザの代表取締役の濱村正夫と申します。
私どもの会社は、通信や画像処理などのソフトウェア開発を行っています。パソコンが得意な技術者がたくさんいますので、この学園のパソコン教室のお手伝いをさせて頂いているという関係です。
さて、今日のお祝いのお話として
この学園で、一生続けたいと思えるものを見つけましょう
もし、すでにそれを見つけている人は、それをもっと深めましょう
というお話を差し上げたいと思います。
私が、今日入学された皆さんと同じ年のころには、アマチュア無線に夢中でした。無線の勉強をして、無線機を自分で作って、電波を飛ばして、同じような趣味をもっている人と交信するのです。
これにはきっかけがあります。小学校の4年生のときに、隣の憲ちゃんと「鉱石ラジオ」を作ったことでした。たった4つの部品でつくったラジオですが、自分でつくったラジオから声が聞こえたときには大感激しました。
そうして、通信の会社に入りました。
ところが、世の中はそう簡単に行きません。会社に入ってすぐに無線通信関係の仕事には就けませんでした。工場の規則を作ったり、設備を導入したりする技術管理と生産技術という仕事に配属されました。これを10年くらいやりました。そしてその後、無線通信関係の心臓部である電子回路のLSIを設計する部門を新設することになり、これを10年ほどやりました。そうしたら、44歳になって無線通信の花形の携帯電話を開発することになったのです。国内の携帯電話や海外向けの携帯電話の開発をまた10年ほどやりました。20年も回り道しましたが、結局、自分のやりたいと思ったことを実現することができました。
私の場合は、ラジオや無線機や携帯電話を作ることでしたが、一生続けたいことはたくさんあると思います。絵を描くことでもいいと思います。音楽もいいでしょう。ケーキ作りもいいと思います。人に教える仕事もいいでしょう。とにかくこれが好きだ、これをやっていれば幸せだというものを見つけてほしいと思います。もうそれが見つかっている人は、それももっともっと深める努力をして下さい。
これが高じて、アマチュア無線にのめり込み、そして電子通信関係の勉強をして、会社に
楽しいときばかりではありません。本当に自分のものにするためにはそれ相応の努力することを求められます。一足飛びには世の中で通用する実力はつきません。毎日コツコツと確実にやっていることで身についてきます。皆さんの今の時期はそういう時期です。
たくさん友達を作って、そして、是非、一生続けたいと思うものを見つけて下さい。どうしても見つからなかったら、そのときは焦らないで下さい。見つかるまで、見つける努力をして下さい。そうしたら必ず見つかります。どうぞ、充実した学園生活を送って下さい。
これを、皆さんに差し上げる入学のお祝いの言葉としたいと思います。