9.特別講座2(蓄積と感度)
ここからは特別講座2です。「蓄積」・「感度」という話を展開します。
すべの判断は、どれだけの情報を蓄積しているかということに依存します。蓄積の情報が少なければ、判断が限られるのは自明です。おぎゃーと生まれてから、もっと遡ると、母親のお腹にいるときから蓄積が始まっています。
ある先輩は、給料を以下のように定義しました。
・蓄積料:入社までに蓄積した知識に対して支払われる部分
・教育料:後輩の指導に対して、支払われる部分
・翻訳料:上司のいうことを後輩に分かるように翻訳する部分。またはその逆。
・紹介料:人を紹介することに対して支払われる部分
全て、基本は蓄積です。たくさんの蓄積(=情報)をベースにした方が優位であることは誰にでも分かります。
それでは、どうやって情報を得るか。
当たり前ですが、
・聞き取る.
・読み取る.
・メモを取る.
この3つです。しかし、人間生きているのは有限の時間ですから、心がけ次第で、ものすごく大きな差が出ます。
(1)聞き取る
下名のボスは非常に忙しい人でした。分刻みで働いている人でした。でも、その人は、どんなに会議が延びても、じっと話を聞いています。人が発言しているときには絶対に口を挟みません。すでに分かっていることでも「分かった、わかった、君の言わんとすることはこういうことだろう。それならこうしたまえ。」と言いそうですが、絶対に言いません。 下名が意識的に聞いたことがあります。「分単位で忙しく働いているのに、もうよく分かっているはずのことをくどくど説明されたら困るでしょう。なぜ途中でそう言わないのですか。」 ボス曰く、「途中で口を挟んだら、彼は二度とオープンに包み隠さず報告しなくなる。全部聞き取るのがオレの役目。ボスは、もうひとつ、メモの名人でもありました。きれいに文章にしてノートされています。
これはコミュニケーションの鉄則だと思います。ただ聞くだけではありません。だらだらと聞いているのでもありません。相手に話すだけ話させて、相手に満足感を与えるものでもありません。感度を上げて聞き取っています。聞き取るという心構えが大事です。説明している情報は、たくさんの情報の中から取捨選択してくれたものですから、聞くだけではなく、どんなに忙しくても絶対に自分勝手に中断させないで、感度高く聞き取らなければなりません。
(2)読み取る
また別のボスは、読み取る名人でした。あらゆる報告、あらゆる資料を赤鉛筆でマークしながら読んでいました。斜めに読むなんてとんでもありません。すべての情報を整理し、頭に叩き込んでいるかのようでした。単に文字を読んでいるのではありません。感度高く、読み取っています。ほとんどの数字を覚えていました。
(3)メモを取る
聞いただけ、読んだだけではなかなか生きたデータベースになりません。整理することが大事です。リアルタイムに整理できたら、それこそ最高です。
特別講座2は、同じ時間を使って、より多くの有効な情報を蓄積するための心構えを話しました。
●人の話は最後まで聞く。
・途中で口を挟まない。
・感度高く聴く。
・聞き取る。
●報告は絶対によむ。
・赤線を引いてよむ。
・感度高く読み取る。
●メモを取る。
これも簡単そうで、簡単ではありません。会社の長たるもの、無茶苦茶多忙ですから、その中にあっても、絶対に守ると自分に言い聞かせていないとできません。ついつい上の立場の者がしゃべって、下のものが黙って聞いていることが多いですが、実は、この構図のときは、ほとんど下のものは聞いておらず、意味のない時間になっていることがほとんどです。逆に、下のものにしゃべらせて、そのことに対して、Yes/Noを明確に意思表示するくらいでちょうどいいのです。
特別講座2(蓄積と感度)