56.顧客との信頼関係について
最初にうまくいったケースです。
S社が堺に新しい液晶の工場を作ることは、皆さん、新聞で読んで知っていると思いますが、その建設現場の入退場管理を急遽行うことになり、J社が、今月に入ってから何とかしてほしいと頼みに来られました。それもなんと1ヶ月弱で稼動という条件です。入退場管理に関しては当社に多くの実績があり、ソフトウェアパッケージも充実しているであろうという見込みをもっての来社でした。今後のことも考えて、無理を承知でこれを受託し、頑張って20日間ほどで仕上げたのです。結果として大いに当社の評価が上がったことは言うまでもありません。J社社長自らお礼に来られ、その席で建設中の増設の商談と、完成後の実運用時の入退場管理システムの商談までもらうことができました。
逆にうまく行っていないケースがネットカフェです。大阪店の問題改善を7月末、石山店の立上げを8月末と約束しましたが、2カ月遅れの10/Eでも完全解決できていません。いろいろな原因があります。まずはお客様の最初の要求仕様をきちんとドキュメントにして残していないことがあります。例えば、「石山店は大阪店と同等のものを導入してほしい」、これだけが約束事ですから、少しでも違うとそのまま使えるケースであっても次から次へと改善要求が出て際限がないのです。また、大阪店についても、要求が出たタイミングでさっさと片付けていればよいものをいろいろ検討に手間取ってなかなか対応できなかったことから、当社がお客の要求を長いこと放置したと受け止められてしまっています。途中で、小まめに中間報告をしておけば問題はここまでこじれなかったと思います。その上に女性店長に変わって解決能力がなく、担当役員も変わって、その担当役員が部下に任せず非常に細かくフォローされる、以前は非常にうまく行っていたのでその感覚で対応しているととんでもなく叱られる、そんなことが続いて、金を払うと対応しなくなると評価されて保守料の支払いが完全に止められています。
この2つのケースは、お客様との信頼関係を構築し、維持するにはどうしたらよいか、非常に明確に示しています。一言で言えば「誠意」です。誠意=フェアとスピード、これです。お客様と真正面に対峙し真摯に対応すれば自ずと「誠意=フェアとスピード」ということになります。何回も繰り返し言っていることですが、もう一度自分自身で深掘りして、よく理解して対応してほしいと思います。それから、簡単なことですが、絶対に守らないといけないのが、提出文書に誤字・脱字をしないこと。特にお客様の会社名や部署名を間違えることは絶対に許されません。