46.クレーム処理は新ビジネスに繋がる


よく「クレーム処理を上手にやりなさい。そうするとお客様との関係がよくなって、新しい仕事がもらえることもある。」と教わってきましたが、先週、そういう話が実際にありましたので、紹介したいと思います。

 

事の経緯から話を始めますと、この件は、当社が05年にシステムを受注して納入したもので、これがなかなかうまく行かなくて、たいへん苦しんだ案件でした。苦しんだというのは、当社が端末系のシステムを、C社が中核システムを担当しましたが、端末系のシステムに中核システムの一部が二重に含まれるという変なシステムアーキテクチャに当社が気づかないままに開発をしてしまっていて、納入直前になってその見落としに気づき、結果として当社の持ち出しで急遽追加開発をして納入したという苦いものでした。

 

原因は、きちんと仕様書を読み切らないで見積をし開発を行っていた当社に非があるのですが、ところが話はこれだけで終わらなくて、納期から遅延した期間の出費分を保証しろという要求が出て、結局、担当した3社が按分して、その一部を上期に負担した非常に悔しい曰く因縁の仕事でした。こういう仕事ですから、この後、どんな追加作業が出てくるかも分からない、何を言われるかもわからないお客様であるという懸念から、今後の保守作業はやりたくないという意向があって、当社が担当した部分をC社に移管して、今後の面倒は一切C社に見て貰うことにしました。

 

この移管作業がうまく行ったのです。お客様曰く、「今回の件では非常に悪い印象を持っておられると思うけれども、移管作業においては、物事をきちんときめて作業を開始したら、非常にうまく行った、あらためて貴社の技術力を再認識したので、今後も、是非、パートナーとして組ませてほしい。」と。そして、「東アジア地区で中国10社、その他10社計20社くらいの鉄鋼関係の流通と加工関係の会社を持っているけれども、設備の老朽化、保守ができていない。FAシステムや情報系のシステムもドキュメントレスでかつ担当者がいなくなってしまっていて非常に弱っている。一緒に何とかやって貰えないか」というお話を頂いたのです。

 

現状の当社海外小会社ですぐには対応できないかも知れませんが、海外ビジネスを伸ばしたいという社長方針には合致しており、やり方によっては新しいビジネスになると思われます。まさに、「雨降って地固まる」です。当社の評価が上昇し、新商談に繋がりました。本当に有難いいい話だと思います。現在、クレームをいろいろ持っている人は参考にして下さい。