34.特別講座5(原因と真因、他責と自責)
なぜなぜ分析のところで、話をしました。
・なぜ、失敗したか。→現象が分かる。
・なぜ、その現象が起るのか。→原因が分かる。
・なぜ、その原因がおこるのか。→環境が分かる。
・なぜ、そのような環境になるのか。→環境に負けている自分が分かる。
・なぜ、負けたのか。→自責が分かる。
起っている現象、類推できる原因、その環境の把握は、どこまで細かくかつ深く掘り下げても真因ではありません。ボーイング787の電池問題も真の原因は最後まで見つからないと思います。なぜならそれは他責だからです。あれが悪かった、これが悪かった、こうしておけばよかった、いくらでも挙げることができます。きりがありません。
環境に負けている自分、自分がこうすればよかったというところ、すなわち自責に行き着いて、反省することによって、自らの問題として根本から直すことができるのです。自分の問題=当事者の問題をなおせば、環境の改善も、類推した原因も対策することができ、起っている現象も順番になくすことができます。ボーイング787の電池問題は、関わったどのメーカーも自社の問題と捉えていないから、真因に基づく解決ではなく、対処療法的な対策で再飛行することになりました。地上からのオンライン監視、毎飛行後の目視点検、万が一の発火に備えての金属ケースでの密封、熱暴走した場合の熱伝達防止の電池間仕切り板の挿入など、全部対処療法です。電極や材料自身、製法、ゴミ対策など、電池そのものの製造の中に、まだまだやるべきことはたくさんあるはずでます。現状は極めて不幸なことです。
特別講座5(原因と真因、他責と自責)