29.特別講座5(規模を追うな、利益追求型の経営)


売上げ規模を追うと、知らず知らずに会社が弱体化する構図を前述しました。会社は規模ではなく、利益を出してナンボのものです。

 

滋賀県にプリント基板の会社があります。ここの社長は2歳上ですが、下名と机を並べて仕事をしたことがあります。いわゆる派遣社員でした。下名は熱心に電子回路図の読み方やパターンの引き方と電気特性の関係など教えました。あるとき彼は独立しました。設計とは全然関係のないアートワークという作業を夫婦で始めました。そのうち積層プレスを購入して、標準内層の積層だけの工場を始めました。

そうこうして、ずっと後のことですが、下名の開発の試作機を担当してくれたのです。下名は彼の当時の実力で類推しました。ところが、下名の知らないうちに、エッチング工場を作り、組立工場を作り、CAD装置を装備した設計部門を作って、一貫工場を作っていたのです。それも試作専門の技術力があって小回りの利く工場です。量産をしないので、売上げはそれほどありませんが、利益率が高いのです。数がすくなくても技術力がないと作れないもの、代表的なものが半導体工場用のテスタ基板ですが、そういうものを専門に作っているのです。

売上げ規模は小さくても利益率が大きいので、150人もの大きな会社になっていました。

下名の試作機もしっかり担当して仕上げてくれました。彼の経営手腕に感心しました。

 

特別講座5(規模を追うな、利益追求型の経営)