22.100万画素競争
30万画素のカメラ付きケータイが売れている間に、次のカメラモジュールは100万画素だと、密かに考えて準備を始めていた。例によって、CCDはFF社、設計&実装は社内である。加えて、カメラを前面に出すなら横撮りだ、高価なカメラを実装するなら、ひとつのカメラで相手撮りも自分撮りもできるようにヒンジ部にカメラを実装して回転させるスピンアイ方式だ。若手商品企画部隊が知恵を絞った。
これはいける。そう思った。が、考えることはみんな同じ、同業他社もミリオン画素を考えていた。出荷前から宣伝合戦が激しくなった。専門誌に各社の比較表が載せられる。カメラ性能の表記が問題になった。有効画素と記録画素の問題である。SH社は有効画素で100万を超えている。FF社のカメラはCCDだけれども、実際にチップの上に存在する有効画素は64万画素で、その画素間の画像計算で補完的作り出される画素を加えた記録画素は128万。逆にFF社のものはCCDの画素毎の面積が大きいので感度がよいという特徴があるのだけれども、カメラ業界は、FF社に意地悪して、有効画素と記録画素という定義をして、FF社のものはミリオン画素ではないと言いふらした。
お客様も火中の栗は拾いたくないとの態度で、とうとうD社製はミリオン画素ではないと言い出す始末。今では、有効画素、記録画素のどちらでも問題となっていないが、鎬を削ったこの機種では、これでやられた。ビジネスにきれい事はない。