21.3G機2号機の失敗
何とかして、出荷に漕ぎ着けた3G機1号機であったが、2号機目の開発に失敗した。S/Wがどうしてもできない。
これを、平身低頭、お客様にお願いしてスキップし、次の機種に仕様を合わせることで了解して貰い、体制も新たにして開発のやり直しが始まった。S/Wの開発責任者も変わった。トータル2800KLのS/Wで、新規分と改造分だけでも1200KLもある。S/W開発管理の専門家も入ってきて、デザインレビュー、フォロー体制も綿密になった。毎週、フォロー会議が行われる。出荷2ヶ月前に商用試作機も納入できた。一見、順調そうにみえた。
ところが、いよいよ商用機に向けての試験を開始すると、S/Wが穴だらけである。商用機として肝心な部分ができていない。商用試作機の仕様にミートさせるだけで眼一杯、調べれば調べるほど、使い物にならない。そう、基本設計ができていない。暫定的な体制でスタートさせたために、きちんとデザインレビューがなされていないブロックがある。急遽、PDCの経験者を投入したが、大きなブロックを数個も作り直さざるを得なかった。
結果として、商品の市場投入が半年遅れた。値下げも要求された。利益の確保できない機種となり、35万台の出荷で打ち止めにせざるを得なかった。大規模S/Wを短期間で構築する手法が当社内になかった。