17.特別講座3(品質と品格)
特別講座3は、「品質」・「品格」の話です。
会社の長としての品格。会社を代表していますから、人間的にも、会社的にも非常に大事です。品質は非常に小さいことで、決まります。小さなことが品格を決めます。大言壮語が品格を落とすことは、だれでも分かると思います。ほんとうに小さなことに気をつけないといけません。
(1)誤字を書かない
単純な話誤、字を書かないということだけでも、りっぱに寄与します。 日本で一番誤植の少ない週刊誌はプレイボーイだと言われています。
・取組
・取組み
・取り組み
きちんと使い分けできますか?
最近は新聞社でもいい加減ですから、これを完璧に使い分けているのは、富士通の広報部くらいです。
「取組」は、相撲の取組など、慣用語として使う場合
「取組み」は、○○に対しての取組み、というように体言として使う場合
「取り組み」は、○○に対して取り組み、また◇◇に対してどうこう、というように連用・動詞として使う場合、です。
ここまで厳密に言わないまでも、ごちゃ混ぜに使ったり、いわんや、誤字は絶対に駄目です。
(2)こまかいミスをしない
> 1.妥協しないこと
> 2.言い訳しないこと
> 3.諦めないこと
> 4. 心を開くこと
> 5.撤退するタイミングを心得ること
> 6.目的をもつこと
どこが違っているか分かりますか?
“1.”から”3.”までは全角、”4.”から”6.”までは半角になっています。
長いメールの中だから、意外と気がつきませんが、タイトルだけを並べてみると、こんなミスをしています。こういう小さなミスが「品質」を下げるのです。
・文章自体の品質
・人間の品質:注意力がない、大雑把、きっと経営も大雑把、いいひとだけどねえ
・商品にも何か欠陥があるのでは?
どんどんネガティブな方向に、見方が変わってしまいます。いくら良い提案でも台無しになります。
(3)ウソをつかない
・時間を守る
・ルールを守る
・挨拶をする
・つめをきれいにする
・服装をきちんとする
・マナーを守る
会社の長のちょっとしたミスが大問題になる、例えば、社会的な大問題を起こしてしまったときのお詫びの頭の下げ方とか、記者会見の言葉遣いとか、会社を代表する立場としてはちょっとの油断も許されません。
ゴルフでも失敗する人もたくさん見ました。
・あきらかに空振りなのにカウントしない人
・あきらかにOBしているのに落ちていたボールを自分のボールのような顔をして打つ人
・あきらかにバンカーでツータッチしているのにぺナルティをカウントしない人
・上手ではないのにプロのように時間をかけてパットをする人
全部周りの人は見ています。かならずどこかでだれかが見ています。それなのに正直でない。
いっぺんに、人格が疑われ、会社の品格が疑われます。
(4)関連会社や仕入れ会社、外注会社、販売会社を「業者」と位置づけているケース
部品がひとつ欠けても、製品は出荷できません。業者という感覚はなく、ひとつのビジネスをシェアし、分担しているパートナーなのです。お客様を含めて、ビジネスを共有しています。そこには、適正な利潤の分配が成立していないといけません。ひとり勝ちは許されないのです。
Mo社が失敗しました。あまりにも厳しい価格要請をしたために、部品メーカーが納入を拒否し、パートナー扱いをしたNo社に一斉に鞍替えしました。Sa社は、調子がよかったときに、「買ってやっている」という態度で、薄汚い言葉で部品メーカーいじめをしたために、とうとう会社がつぶれてしまいました。
(5)奢ってはいけない、卑下してはいけない
会社の調子がいいときも、よくないときも、奢らず、卑下せず、平常心を保たねばなりません。
思い出して下さい、特別講座1の問題です。どんなときでもブレない、これが活きてきます。
(6)5S
整理、整頓、清潔、清掃、しつけ。現場の常識です。工場の白線を踏んではいけません。
何のために、5Sを行うか。5Sの大事さは稲盛塾でも口やかましく教えます。なぜ5Sか。ほとんどの人が理解していません。
答えは「当たり前品質」の向上です。ゴミが落ちてなくて当たり前、不良品がなくて当たり前。この当たり前品質が会社の品質レベルを決定付けます。それほど大事なことなのです。
会社を代表する長の人格、会社の品格は、ものすごく小さなことに注意しないといけないのです。会食時のマナーもごく自然にできるように、普段から身につけておきましょう。
特別講座3(品質と品格)