153.津波警報について
チリの巨大地震発生による津波警報が、テレビ画面にずっと出っぱなしになっていて、折角のオリンピック放送を見る側としては邪魔でしたが、大津波の可能性ありという非常事態を国民に広く知らせる手段としては、徹底されていて、非常によかったと思います。
今回のチリの巨大地震はマグニチュード(M)8.5とか8.8と報道されていますが、このマグニチュードというのは地震のエネルギーの対数と線形関係にあり、マグニチュードが2増えるとエネルギーは1000倍になることを表しますので、M7強であった神戸大地震に比較して数100倍のエネルギーをもった本当に巨大な地震だったと言えます。
ですから、1965年のM9.5のチリ大地震による日本の津波被害を知っている私としては、今回の津波も相当ひどくなることが予想され、何事が起こるか非常に心配でした。
津波は、変化した地層の体積分の海水が動いたとほぼ等価ですので、表面の波の高さが問題ではなく、海底から波のテッペンまでの体積が動いていることになります。ですから、伝達スピードは時速30km以上の高速ですし、V字渓谷や海底が浅くなっているところではその体積を確保するために、必然的に高さが高くなる性質をもっています。人間が走って逃げることのできるレベルではありませんので、とにかく早く高台に非難することが重要です。
今回の気象庁やテレビ局の対応は素晴らしくよかったと思います。
気象台の報道担当課長は非常に落ち着き払ってきちんと説明していましたし、解説の東大準教授やアナウンサーもパニックが起こらないように、丁寧に落ち着いて報道していました。それも全テレビ局が歩調をあわせて表示を続けていたことに対しては、すばらしかったと思います。
危険はどこにあるかわかりません。普段から、例えば「津波」についてもその性質を理解して、きちんとした対応ができるようにしておく必要があると思います。とにかくぶっつけ本番ながら、非常によくできた津波警報/注意報でした。