養蚕
富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産になった。繭から糸をつむぎ絹織物を作る工法は古事記にもある。近代日本の富国強兵の旗頭であった。
養蚕はわらぶき農家の当たり前の風景であった。かいこは家畜化された虫。自然界では育たない。幼虫は白いが故に捕食されやすい。またすぐ落ちる。成虫の蛾は筋力が弱く飛べない。たまごから還ったばかりの幼虫は黒い毛に覆われたげじげじ虫である。これが5回ほど脱皮を繰返す。青白く透明になって繭をつくるとさなぎになる。完全変態。
学校帰りに桑畑に忍び込んで桑の実をよく食べた。夢中になって下に植えてある野菜を踏み倒して叱られた。人間よりかいこさまが先だった。新鮮な桑の葉しか食べない。その代わり枝だけ残してきれいに完食する。
石油を原料とするナイロンの出現で一気に需要が減った。産業の変遷が始まる。今もその一環。濱村