名前を覚える名人
壇上から突然指名される。「所長の話を聞いて職場の改善策を論文にまとめる」という主任相当の筆記試験の演壇から。もとより事前に論文の原稿は作って臨んでいる。
E所長(後にVP)の経営手法のひとつだった。工場を巡回されるときそのルートの班長たちの名前を予習して臨まれたされた。必ず名前を言ってから質問される。名前を呼ばれた人たちは意気に感じる。だんだん職場が燃えた。
多くの従業員の前で話される。出来栄えはどうだったか必ず聞かれる。評価を細かく気にされた。ブレザーで通された。作業服のE所長は見たことがない。
見習って、外来者に会う前に過去に会ったかどうかをチェックした。名前を呼びながら話すと一気に距離が縮まった。濱村