丸の内・中通り
「生きている」第一報だった。M重工ビル爆破事件があった74年のこと。向かい側のM電機本社ビルのガラスも雨のように降ったという。窓際の白板で助かったと。
M重工ビルの来客室を借りて打ち合せる。ウェートレスが親指を下にするとコーヒーが、上にするとジュースが出た。無言だから打合せの邪魔にならなかった。ビジネス・オフィス街で休日は人通りがなかった。年末・年始は木枯らしがふいた。
ところが、がらりと変わった。M地所の作戦。中通りを石畳にして1Fにセカンドブランドやレストランを入れた。休日でも若者が往来する。アフターファイブも近くで済ませられる。欧州の町並みを歩いている感覚。並木もある。小ジャレたイタ飯屋もある。
考え方を変えるとこうまで変わるのかという見本になった。現状を肯定すると斬新なアイデアは生まれない。濱村