濵ちゃんの足跡

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閑話休題(62)現代語訳「学問のすすめ」福沢諭吉 /斉藤 孝(訳)=ちくま新書

第4編 国民の気風が国を作る(明治7年1月出版)

一国全体を整備し、充実させていくのは、国民と政府とが両立して、はじめて成功することである。われわれは国民としての責任を尽くし、政府は政府としての責任を尽くして、お互いに協力し合い、日本全体の独立を維持しなくてはならない。気風と言うものは形のないもので、一個人、一例をみて即断することはできないけれども、気風が現実に及ぼす力はたいへん大きい。政府に頼ろうとするいまの国民の気風は一掃されなければならない。

そもそも事をなすにあたっては、命令するよりは諭した方がよく、諭すよりも自ら実際の手本を見せる方がよい。一方、政府はといえば、ただ命令する力があるだけである。諭したり、手本を示したりというのは、民間でやることである。

能力も技能もないのに、運がいいだけで官の仕事について、みだりに給料をむさぼって、贅沢をし、それでいて、軽い気持ちで天下国家を語っているようなものは、われわれの仲間ではない。

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