濵ちゃんの足跡

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214.製品の安全設計(1)

東日本大震災で、原発の設計が案外脆いことが露呈しました。原子炉は厳密な耐震構造になっているもののその他の建物、特に電気系統が一般家庭と同じぐらいの耐震性しかないことが分かりました。外部電源が壊れたことで循環水が止まって炉心温度が上り、水素爆発に至ったという経過でした。

(1)ケータイの例

製品を設計する場合、あらゆることを想定して厳密に安全設計を行います。例えば、ケータイの例ですが、最終段のパワーアンプはその名のとおりW(ワット)級のパワーをだしますので温度があがります。異常が生じた場合でもやけどなどしないように徹底的に検討します。パワーアンプが短絡モードで故障した場合どこで電流断が行われるか。プリアンプが故障してパワーアンプをONしっぱなしになったらどうなるか。電源が故障したら?電池が故障したら?マイコンが故障したら?それらが複合して起こったら?と、どんどん詰めて行って、絶対に人身事故がおきないように注意を払って設計します。

こんなこともありました。卓上充電器が故障してカーテンが焼けるくらいの事故がありました。調べてみると製品の不良ではなくて、猫のおしっこが原因で短絡事故が起こっていました。それでも製品ですから対策しないといけません。解決策をどうするか?結論は卓上充電器の底に小さな穴をあけておしっこを流すことで解決できました。

AC充電器では大きな事故を起こしています。125万台売った後で、わずか100個のフォトカプラの不良品が混入していることが分かりました。その充電器は60℃くらいまで発熱します。火事に至ることはありませんが、赤ちゃんや体の不自由なお年寄りは十分低温やけどをする温度です。結局全数回収することにしました。回収するには、回収センターを開設して、電話で対応しながら、作業を進めますので、たいへんな人手と時間がかかります。おおよそ1台あたり1万円くらいですから、1万台を回収する場合でも1億円の出費を覚悟しないといけません。

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